くまもとの風合い KUMAMOTO no fuuai

くまもと手しごと研究所

協賛企業例

喜ばれるもの。

有限会社栗川商店 四代目 栗川亮一様

むかしから夏が近づくと商家ではご贔屓筋にオリジナルの団扇を贈ったりしていました。大正時代、昭和中期までは竹と和紙で作られた団扇の独壇場でしたが、石油化学工業の進展に伴いプラスチック製の骨を使った大量生産品が販促品として配られたりするようになりました。
しかし近年、大量生産品ではない気の利いたオリジナルの団扇が喜ばれるようになったといいます。なぜ喜ばれるのか。そのお話を伺ってきました。

※有限会社栗川商店 四代目 栗川亮一様:以下 栗川 くまもと手しごと研究所:以下 事務局

自分では買わないものだからこそ、いいものが喜ばれる

事務局:
最近、オリジナルの団扇の制作が増えているそうですね。
栗川:
多くなりました。たとえば新しくできた証券会社の設立記念パーティ記念品として季節の花をあしらった来民団扇をお客様にお渡しになったり。そのほかにも、沖縄にできた鉄道系ホテルのオープン記念の品としてシーサーの絵柄の来民団扇を作りました。豪華寝台列車のお客様に専用デザインの来民団扇を作ってその場でお客様のお名前を書いて差し上げるという企画もありました。
事務局:
単にものを贈るということではなさそうですね。
栗川:
まず、団扇って自分で買いませんよね。自分で買わないものだからこそ、いいものが喜ばれるのだと思います。さらに縁起もいいのです。「来民」だから、民が来る。つまり「千客万来」です。さらに団扇の和紙に塗る柿渋は長持ち、つまり「長続き」する。二つ合わせると「ずっと商売繁盛」ということになります。昔は販促品的に使われていましたが、最近は記念品・贈答品として気持ちを込めたものになっていると思います。
事務局:
オリジナル団扇を作りたいときはどのような段取りになりますか。
栗川:
ご依頼いただくときには、まずどういったものを作りたいのか伺います。たとえば、パーティーのときの記念品だとか、お使いになるシチュエーションを伺います。次にご予算です。それによって仕様や数量を決定します。そのあとに、伺った内容で私たちからデザインを提案したり、お客様からマークや記載内容の指定を頂いたりというやりとりとなります。最後に製作ですね。繁忙期や他の作業との兼ね合いもありますが、スピード第一と考えています。製作段階の目安は、1千本くらいであれば約二週間くらい見ておいて頂ければと思います。
事務局:
来民団扇を手にされた皆さんの様子はいかがでしたか。
栗川:
沖縄のホテルのオープン記念の団扇は守り神であるシーサーの柄でしたから大変喜ばれました。また、目の前でお名前を書いて差し上げる豪華列車の記念品も他にない仕掛けで大変喜ばれましたね。いま竹を削いで骨を作る職人が国内には来民以外にはおりません。阿蘇外輪山の真竹を用い、柿渋も自前で作っています。和紙だけは吉野和紙を使っていますが、今後これも自分たちで作ることを考えています。持っただけでわかる品質感に加え、そのような希少なものであるということも、喜ばれる理由の一つだと考えています。